弱点

 

オレの見る限りでは、塔矢に苦手なものはないと思う。

碁は強いし
プレッシャーにも強いし
海王に通ってたんだから頭もいいはずだ
それに酒にも強かったし
犬も嫌いじゃないみたいだし
ネット碁もしてたからコンピューターも出来るだろ?
1回走るのを競争したことがあったけど、遅くなかったし(でもオレの勝ちだったv)
好き嫌いせずになんでも食べるし

あいつって苦手なもの、ないのかなぁ…

 

「なぁ、お前に弱点とかないの?」
気になったから塔矢に聞いてみた。
だってこいつのことはこいつがよく知ってるだろうから
塔矢は眉を寄せてオレを睨んだ。
んだよ〜。何で睨むんだよ〜
「そんなこと聞いてどうするんだ」
この言い方だと、弱点があるんだな!
よ〜し、絶対に聞きだすぞ〜
「あのな、昨日、和谷と伊角さんと遊びにいったんだけどさー。その時に弱点の話が出たんだよ〜」
塔矢は何も言わないでオレをじっと見てる。
「それで和谷の弱点がさ、なんと耳だったんだよ」
「耳?」
「そ。耳触られるのがダメなんだって。くすぐったいって言うんだよ」
和谷の耳を触ったら本当に笑いだしたから面白かったんだよな
「で、伊角さんはさ、猫がダメなんだって。なんか猫アレルギーだとか」
「ふーん」
塔矢はどうでもよさそげに返事をして詰め碁集を読みだした。
「お前は?」
「何?」
塔矢が鬱陶しそうに本から顔を上げる。
「だからなんか苦手なもん。ねーの?」
塔矢はちょっと考える風に眉を寄せて、オレに言った。
「キミは?」
「へ?」
「キミの弱点」
「オレぇ?」
そんなこと聞かれるとは思ってなかった。
んー
「オレはいっぱいあるぜ?えっと、勉強だろぉ」
そう言うと塔矢は呆れた顔をした。
むむむ、どーせ塔矢みたいに頭よくねーもんね
オレはかまわず続ける。
「あと、ピーマン」
「ピーマン?」
そう、ピーマン。あれはどーもおいしいと感じられないんだよな。苦いし。
「だって、あれ、おいしい?」
「…おいしいと思うけど」
うへ、だめだこりゃ
「それからー、緒方先生」
「緒方さん?なぜ?」
塔矢はさも不思議そうに首を傾げる。
「だって、あの人さぁ、酔っ払ったら手ぇつけらんねぇもん」
これは塔矢も経験したことがあるだろう、そう思ったら塔矢が笑った。
「ふふ。確かに、あれを苦手としない人はいないだろうね」
「だろ?もうあの人と飲みにいくのは勘弁してほしーよ」
でもたぶん無理だろう。何かとオレと塔矢を飲みに誘ってくるから。
「それから…あとは、こいのぼり…」
「え?こいのぼり?」
塔矢はさっきより驚いた様子でオレを見た。目を大きく見開いて、その目が「なぜ?」と聞いてくる。
オレはふっと笑って答えた。
「寂しくなるから」
塔矢は何を言えばいいかわからないって顔をしてオレを見ていた。
オレはにっこり笑うと聞いた。
「オレは全部言ったぜ?塔矢は?」
塔矢は困った顔をして考え始めた。
オレはにこにこして答えを待った。
塔矢の弱点♪なんだろ〜
「あの…」
「ん?」
「特には…ないと思うんだけど」
「ないぃっ?」
「うん」
すっぱり、きっぱり言っちゃってくれた。
「1個も?」
「ああ」
「嫌いなものは?」
「…それならある」
えっ?!
「マジ?何何何?」
「キミの遅刻癖、散らかし癖。人の言うことを聞かないところ。あとキミがこういう変なことを知りたが」
「あーっ!もうっ!オレのことばっかじゃねーか!」
「そうだね」
しらっと答えるとこがかわいくねー。
「でもオレのことは好きだろ?」
「…そうだね」
間を置いて言うけど、しっかり肯定してくれて嬉しいvこういうとこはかわいいんだよな
「んー。人間弱点のないやつなんているかぁ?」
「いないんじゃないか?」
さっきと言ってることが矛盾してますよ、塔矢さん?
「じゃ、お前の弱点はっ?」
「…思いつかないよ。大体あってもキミには教えない」
「え〜、何でだよ」
塔矢はじっとオレを睨みつけるとふいっと目を詰め碁集に戻して言った。
「何か企むだろう?ボクの弱点なんて知ったら」
むか。んなこと、んなこと…しないとは言い切れないかも…
「企まないからさぁ。教えてよ」
「だから思いつかないんだ」
「えー。ちゃんと考えたのかぁ?」
「考えたよ、一応は」
「一応じゃダメだってばぁ。じゃ、お前何が一番成績悪かった?」
「…体育」
あれ?
「お前って運動だめだっけ?」
「いや、手合いで休みすぎたのが響いて…」
何か嫌な予感がするけど…
「ちなみに…その成績は?」
「7」
「10段階で?」
「ああ」
…オレの最低成績聞いたら驚くかな、こいつ。言わないけど。
「キミは3や4をとってたんだろう?」
そうです。とはさすがに言えねぇ。
「んなこといーじゃん。じゃあ、えーと…そうだ!縫い物とか出来ないだろっ?!」
「…ちょっとくらいなら出来るよ」
「ええっ!何でっ?」
「家庭の授業で習ったろ?」
そうだっけ?うー…じゃあ…
オレは塔矢に近づいて手を伸ばした。耳を触ってみた。
「それが苦手なのは和谷くんだろう?」
「そうだけど、おまえにも聞くかもしんねーじゃん」
塔矢はやんわりオレの手を跳ね除けると立ち上がって言った。
「キミ、今日は泊まっていくんだろう?」
「うん。泊めてv」
「じゃあ夕食の用意をするよ」
そう言ってさっさと台所に行ってしまう。
んー。塔矢の苦手なもん。んー…
オレは塔矢の背中を眺めながら考えてみた。
「塔矢ぁ、じゃあ、カエルとか触れるー?」
「蛙?どうだろう?触ったことないけど、触らなきゃいけなくなったら触れると思うよ」
「なんかまどろっこしい言い方だな。触るの気持ち悪くはねぇの?」
「別に平気だろ。でも気持ちのいいものじゃないと思うけど」
んー…何もないのかぁ?なんかズルイな〜
「アレルギーもねぇの〜?」
「ないよ。しつこいなキミ」
「だって〜」
何かあるだろ〜?なんかさぁ
じっと塔矢を観察してみる。素早く野菜とか切っていって…
こいつ、料理も出来るんだよなー。マズくねぇし。
「血とか見るのはへーき?」
「血?平気だけど」
じゃ、医者とかにもなれそうだな
って違う!そうじゃなくって!
んー
もう思いつかない。
こいつ本当に人間かよ〜。化け物だ、こいつ。碁の。
う〜
どうやらオレは無意識の内に唸ってたらしい。塔矢が呆れたって顔してオレに話しかけてきた。
「まだ考えてるのか?もうやめたら?」
「い〜や〜だ〜」
塔矢はふふっと笑うと料理を再開した。
んー、なんかムカつく…
オレはそろそろと足音をさせないように塔矢に近づいて、後ろから脇腹をこちょばしてみた。
そしたら塔矢がふっと視界から消えた。あれ?と思っていると下から声がした。
「進藤…」
視界から消えたと思ったのは、塔矢がしゃがみこんでたからだった。
しゃがみこんだっていうより…崩れこんだ?
心なしか肩が震えてるように見える。
「塔矢?」
なにやら尋常でない雰囲気を漂わせながら塔矢が立ち上がった。
「驚くだろう!いきなり何するんだ!」
「…………」
もしかして…
オレが塔矢の脇腹をちょっとこそばせようとしたら、塔矢はがしっとオレの手を咎めた。
「…………」
「…………」
この瞬間、オレ達はないと思ってた塔矢の弱点を見つけた。

オレはずっと塔矢の様子を伺っていた。
塔矢もオレの様子を伺っている。
たぶん、塔矢は脇腹がダメなんだ。体から力が抜けるほど。
んー♪面白い弱点だっ
オレは確かめるチャンスを伺っているのだ。それを食い止めようと塔矢もオレを伺ってる。
でも
とうとうオレにチャンスがやってきた。
塔矢が布団をひいてる、今!
ゆっくり慎重に近づいて、さっきと同じように脇腹をこちょばした。
「っ?!」
塔矢の体はかくっと崩れて布団に座り込んだ。
やっぱり♪
塔矢の弱点は脇腹!
「弱点、あったなv」
「…っ」
本当、こんな簡単だったなんて
なんで気づかなかったんだろ?オレ達エッチもしたことあんのに
塔矢は振り返ってオレを睨みつけた。
「もうボクで遊ぶのはやめろ」
「えー」
塔矢はオレを無視して立ち上がろうとするから、またこちょばせると、またかくんと塔矢の体から力が抜ける。
「っ。進藤っ!」
かわいいv
目が潤んでる。そんなにダメなんだ?脇腹が。
和谷も耳触ったら涙流して笑ってたっけ。
力の抜けた塔矢を押し倒してオレはにっこり笑った。
「弱点あってよかったなv」
「よかったのはキミだけだ。ボクは最悪だ」
「脇腹触られたことねーの?」
「…キミ以外にはないよ」
「へー…」
にこにこ笑ってたら、塔矢が睨んで言ってきた。
「どけてくれないか」
「いやだv」
塔矢が無理やりオレを押しのけようとするから、俺は脇腹をすうっと撫でてみた。
すると塔矢の体がぴくんと跳ねた。塔矢はオレを押しのける力もないみたいだ。
「んなに感じる?」
「…感じない」
かわいくねーのぉ
オレは塔矢にちゅっとキスをすると脇腹をゆっくり撫でてみた。
「――っ」
塔矢は短く息を吐いて、目を硬く閉じた。抵抗もほとんどない。本当に力が入んないみたいだ。
ただ触ってるだけなのに、塔矢はぎゅっと目を瞑って必死に何かに耐えているみたいだ。
気持ちいいのかな?
くすぐったいのかな?
「気持ちいい?塔矢」
「っや、め」
塔矢は体をオレから遠ざけようと身を捩じらせる。でもオレはがっちり抑えてそれを許さなかった。
オレは塔矢の服を脱がせると直接脇腹に触ってみた。
「――っあ」
塔矢の息がだんだん上がってくる。
気持ちいいんだ
「塔矢、気持ちいい?ね、目ぇ開けて?」
塔矢はずっと目を瞑ったままだ。
オレの言葉でも目を開けてはくれない。
しょうがないのでオレは脇腹を撫でながら塔矢にキスを仕掛けた。
口を割って入ろうとしたら、すごい力で口は閉じられていた。
たぶん歯を食いしばって快感に耐えてるんだ。
でもオレは強引に口を割って入ってむちゃくちゃに貪った。
「んんっ」
塔矢が耐え切れないって感じの声を出すとオレはゆっくり唇を離した。
塔矢を覗き込むと塔矢はゆっくりと目を開けた。
目が潤んでいて、はっきり欲情してることが伺えてオレは最高に嬉しくなった。
塔矢はすぐ目を瞑ってしまったけれど。
「塔矢…」
オレは首筋とか体中にキスをしながら脇腹を撫でる。
塔矢はオレが脇腹を刺激するたびに身体を跳ねさせて震わせて、快感に耐えている。
塔矢の顔を見たくて、そっと塔矢の頬に手を伸ばと塔矢の閉じられた瞳からは涙が溢れていた。
「塔矢、そんなに気持ちよかった?」
そう言いながら俺は頬を伝って落ちていく涙を舐めとった。
「も、やめっ。脇腹は…」
「何で?気持ちいいんだろ?」
「嫌…だ。わけが…わからなく、なる」
そう言いながら塔矢は力なく首を振った。
ぱさぱさと塔矢の髪が音をたててシーツに散らばる。それさえもオレの欲情を煽る。
オレももう抑えられなかった
服を全部脱がせて、キスして、胸の突起を愛撫して――
その間、ずーっと塔矢の脇腹を撫でて刺激し続けた。
本当に塔矢はわけがわからなくなっているみたいだった。
今までにないほど甘い声でオレを呼んで、惜しげもなく声をあげて、
オレにぎゅうっと抱きついてくる。
「す…しんど…」
「え?何?」
塔矢が最中に話しかけてくるなんて滅多にない。いつもはオレが話しかけてる。
「進藤…好きだ……しん…ど」
潤んだ目でそう言われて、もう我慢の限界だった。
「オレも好き。塔矢…いい?」
「ん…進藤…きて」
それからオレはめちゃくちゃだった。
激しく動いて、何度も果てた。塔矢の脇腹はずっと愛撫し続けた。
わけがわからなくなってるのはオレのほうかも―そう思っても止められずに
意識が飛ぶまでオレ達は抱き合ってた。

「ん…」
オレが起きた時、隣に塔矢はいなかった。
足音が聞こえたかと思うと塔矢が部屋に入ってきた。
「あ、起きてた?今起こそうと思ったんだ」
んー…
オレはひょいっと起き上がって塔矢の前に立った。
「?」
塔矢は首を傾げてオレを見た。
かくんっ
オレが脇腹を触ったとたん、塔矢の体が崩れた。
その体をしっかり受け止めてオレは塔矢の顔を覗き込んだ。
「夢じゃなかったんだなv」
塔矢は顔を真っ赤にしてオレを睨むと
ばきっ
って音がするくらいの力でオレを殴った。
「いって〜〜〜っ(泣)」
「さっさとシャワーでも浴びて来い!」
そう言ってさっさとどっかにいっちまった。
いいもんね
あの弱点があるかぎり
いつでもエッチできるんだからな!
「バカ塔矢〜。棋院で脇腹触ってやる〜」
そう言ったら、ドアが開いて塔矢がすごい顔で睨んで
「そんなことしたらただじゃ済まないからね」
そういってドアを閉めていった。
オレ、別に叫んだわけじゃねーのに
「…地獄耳」
オレは慌てて口を塞いだ。
でも塔矢は聞いてなかったみたいだ。

なにはともあれ

塔矢の弱点は、脇腹だったんだ。

 

 

初めてキス以上を書いてみたけれど…
これで萌えれるだろうか…
ぬるいですもんね。何かエッチって書きにくい、な。
もの足りない方、すみません〜

そいや、中学の成績は5段階ですよね。たぶん。
でも4じゃ悪くないっぽいので無理やり10段階にしました。

 

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