3日ぶりに皆と顔を合わせると、たった3日でしたがやはり嬉しくなってしまいます。
「おはよう、さい先生」
「はい、おはようございます。ヒカルくん」
ヒカルくんは私の顔を見て、にっこり笑うとちょいちょいと手招いた。
「せんせ、しゃがんで」
私がしゃがみこむとヒカルくんは私の耳元で小さく呟いた。
「あのね、昨日オレ誕生日だったの」
「ああ、そうでしたね。おめでとうヒカルくん」
「えへへ…。それでね、あのね、プレゼントもらった」
「そうですか、よかったですね」
私が微笑むとヒカルくんはにこっと微笑んできょろきょろと辺りを見回した。
「あのね、内緒だよ?」
「はい?」
「あのねェ、もって来ちゃった」
「え?」
「お母さんがダメって言ったんだけど、もって来ちゃった」
ヒカルくんはカバンから小さなミニカーを取り出した。
「小さいから持ってこれたんだ。皆に見せてあげようと思って」
小さな手のひらに乗ったミニカーはぴかぴかと新しく、ヒカルくんは少し得意げに私を見上げていた。
「そうですか。でもなくさないよう気をつけてくださいね」
「はぁい」
ヒカルくんは嬉しそうに笑って自分のカバン入れに向かった。
皆がほぼ全員園に来ている中で、いつもより送れてやってきたのがあかりちゃんでした。
「ヒカルー。あ、さい先生、おはようございます」
あかりちゃんが急いで駆けてくるのが見えた。
「おはようございます、あかりちゃん。今日は遅かったんですね。どうしたんですか?」
「えっと、ヒカルにプレゼント渡そうと思ったんだけど、プレゼントがなくなってて探してたら遅くなったの。急いで来たの」
あかりちゃんは一生懸命説明してくれた。
「そうですか。それでプレゼントは見つかったんですか?」
「うん。おもちゃ箱に入ってた」
あかりちゃんは嬉しそうに笑った。
「よかったですね」
「うんっ。ヒカルに渡してくる」
あかりちゃんが最後だったので、私は走るあかりちゃんの後ろから教室に入った。
教室内ではヒカルくんを中心に輪が出来ていた。
どうやら、あのミニカーを皆に見せているみたいですね。
「へへ〜、すごいだろ〜」
ヒカルくんは嬉しそうにそのミニカーの話や昨日食べたケーキの話を話していた。
その輪にあかりちゃんは少し戸惑ったようでしたが、それにヒカルくんが気がついたようです。
「あかり!見てみて、昨日買ってもらったミニカー」
「わぁ、また増えたんだね〜」
「家にもっとあるんだ!今日はひとつしか持ってないけど」
「あ、私もプレゼント!」
「え?」
「はい、ヒカル、おめでとう」
あかりちゃんは折り紙のリボンのついたおもちゃを取り出してヒカルくんの前に出した。
「あ、これってマックのセットのやつ!」
「私が欲しいのもう売り切れてて、でもヒカルも欲しいって言ってたの思い出して」
「くれるの?」
「うん。ほんとは昨日ヒカルの家に行ったんだけどヒカルいなかったから」
「わぁ、サンキューあかりっ」
ヒカルくんは嬉しそうにそれを受け取ると、他の子たちは羨ましそうにお喋りを始める。
その中で一人、複雑そうな顔をして立っている子がいた。アキラくん。
どうしたのでしょう…?すると、アキラくんが輪から抜け出して私の方に駆けてきた。
私を見上げて、でも話しにくいのか、黙ったまま。私はアキラくんの目の高さに視線を合わせると微笑んだ。するとアキラくんがようやく口を開いてくれた。
「先生」
「はい」
私を見るアキラくんの視線が少し寂しそうな不安そうな顔だったので私は極力穏やかに微笑んだ。
「ボク、ヒカルくんのお誕生日知らなかった」
「そうですか」
「だからお誕生日のプレゼントない…」
ああ、それを気にしているんですね
「アキラくん、おめでとうって言ってもらえるだけで嬉しいんですよ?」
「…そうかな」
「ええ」
私が微笑むと、アキラくんはほっとした表情を見せて少し微笑んだ。
「じゃあヒカルくんにおめでとうって言ってくる」
アキラくんはだっと駆け出してヒカルくんのところへ戻った。
アキラくんが私のところへ来たのが寂しかったのか、ヒカルくんはアキラくんが戻ってくると本当に嬉しそうな顔をして微笑んだ。
アキラくんの顔を覗き込んでもっと嬉しそうな顔をして笑うヒカルくんを見て、アキラくんがおめでとうを言ったことがわかった。
ちらっとアキラくんがこちらを向いたので私はにっこりと微笑んだ。
アキラくんも微笑み返してくれ、ヒカルくん達につれられ外へ遊びに出た。
ヒカルくんがひょこっと戻ってきて私に笑いかけて言った。
「せんせぇ、昨日オレ誕生日だったから今日先生オレと遊ぼうよっ」
来て来てと手招く姿がかわいらしくて私は頷くと外に出た。
ヒカルくんと遊んでいる中で、今日も私は幸せでした。
…後日、ではなく、数時間後…
アキラくんが慌てて私に駆け寄ってきて興奮した様子で私に話しかけてきた。
「先生、先生、これ、これ見てっ」
私が小さな手の中にある小さな黒いものを覗き込んだ。
「あのね、これ拾ったんだけど、碁石に似てるよねっ」
「…ああ、確かに…似ていますねぇ…」
「あのねっ、あっちの方でねっ、落ちてたっ」
アキラくんは興奮したように話した。
「よかったですね」
私が笑うとアキラくんも笑って頷いてくれた。
「ぴかぴかしてて碁石よりキレイ」
「ホントに、そうですね」
アキラくんは考えるように黙り込みその石を見つめ、そっと私を見上げた。
「…これ、プレゼントじゃダメかな?」
「え?あ、ヒカルくんにですか?いいんじゃないですか。きっと喜んでくれますよ」
「拾ったものでも?」
「ええ」
アキラくんはにっこりと笑うと「じゃあ、ヒカルくんにあげてくるっ」
アキラくんは嬉しそうに駆け出した。
駆け出したアキラくんの後についていったら、ヒカルくんがちょうどそれを受け取っていた。
「すげ〜、前に見せてもらったのと同じだ〜」
「でもちょっと違うんだよ。ここ丸いし」
「くれんの?」
「うん、あのね、拾ったものだけど…」
「うん、いいんだ。きれいだしっ。つるつるしてるなっ。ありがと、アキラくん」
ヒカルくんが満面の笑みで微笑むと、アキラくんも嬉しそうに笑顔を見せた。
「あ、せんせぇっ。見て見て!アキラくんにキレイな石もらった!」
「よかったですね」
「うん、今日いっぱいもらった。そうだ、今日帰ったらじいちゃんが来るんだ!またプレゼントもらえる〜」
「そうですか、楽しみですね」
「うん!」次の日、ヒカルくんからおじいちゃんにもらったプレゼントの話をたっぷり聞きました。
ヒカル誕生日おめでとぉ〜〜〜っ
実際は18歳なはずですが、ここではいくつだ…。5歳か?(聞くな)
あまりにも短くて悔しいんですが、これ以上のつけたしはムリと判断により…(第三者視点がダメだったのか?)
ごめん、ヒカル〜;
保育園は昨日は休みだったのか、東京はマクドじゃなくマックと言うんだったか、小さい子が何をもらって喜ぶのか、ミニカーって今でもあるよね…とかいろいろ悩んだんですが、ま、変でも流していただ(直せ)
ミニカーって…見かけない…ような。おもちゃ屋にも行かないしな…。今時凄いおもちゃもあるし…
でもあるよね。存在くらいはあるはずだ。(たぶん)
とにかく、ヒカルおめでとう!
…来年はもっと豪華に祝おう!(決意)