碁盤から顔を上げるとボクは立ち上がった。
ちらっと碁盤に目をやり、満足の一局だったと思い、それから帰るために靴を履いた。
一歩足を踏み出したところでボクははたと思い立った。ここはどこだ?
見知らぬ土地だ。
後ろを振り返ると何もなかった。
今しがたボクが出てきた家も、玄関も。ただ、草原が広がるばかりボクは何をしていたんだろう?
さっき、満足だと思った碁の内容も、もう思い出せなくなっていた。
ただ、広がるばかりの草原に一人立ち尽くし、考えるしかなかった。どうしてこんなところに?
頭に靄がかかったように、何もわからなかった。
空を見上げ、周りを見渡してみた。
空は青く、草原は無限に広がっている。
家も、人も、車も、道路も、何もない。
綺麗さっぱりとしたシンプルな絵か写真の中のようだ。どうしたらいいのかな?
家に帰ろうと思っていたはずだったのに、今は別に帰らなくてもいいような気がした。
草原に気持ちのよい風が吹いた。
ボクは何も考えずに歩き出した。
ボクは目的地もなかったけど、しっかりと歩いた。
普段ならきっとわけがわからなくて困って慌てていたかもしれなかったけれど、今は何も考えられないせいか、ボクは落ち着き払って歩いていた。
「わ〜〜〜っ!遅刻だ〜っ!」
しばらく歩いていると後ろから声が聞こえてきた。
振り向こうとしたら、横をだだっと駆け抜ける影が見えた。
驚いてその人物を見た。
そうしたらもっと驚いた。
その人物は進藤だったから。
「進藤っ?!」
よく見てみると、進藤の頭の上からウサギの耳が生えている。
真っ白い長い耳が。
進藤は立ち止まって辺りをきょろきょろと見回している。
「進藤、その耳…」
どうしたんだ?と聞こうとしたらその前に進藤がだっと駆け出していた。
「あっ!」
ボクは進藤を追うために走り出した。
「進藤っ!」
進藤は止まることも、振り返ることもせず、ただ走っていた。
時々きょろきょろと辺りを見回し、うんうんと頷きながら走る。
ボクが叫んでもお構いなしだ。
「進藤っ!待てっ、進藤!」
ボクと進藤は一定の距離を保っては走り続けた。
ボクは一生懸命走っているのに、進藤は何だか余裕な走り方だ。
「進藤っ!」
ボクはもう走れないと思った。
その時、進藤の前に扉が現れた。
ボクは進藤を追うことに夢中で気がつかなかった。
進藤はここを目指して走っていたらしい。進藤が立ち止まり、ポケットを探るのが見える。
今のうちだと思って、ボクは走った。
どんどん進藤に追いついていく。
進藤はポケットから鍵を取り出し、扉を開けた。
扉がぎぎぎと音をたてて開き、進藤は中に入っていった。
また、ぎぎぎと閉まる扉にボクは手をかけて開けて中に入った。
中は森だった。
扉から道が続き、両側には木が生い茂っている。
進藤は道をまた走っていた。
ボクもあとを追った。
「はぁ、はぁ、はぁ、」
ボクは走って疲れていて、進藤に叫びかけることも出来なかった。
進藤はボクのずっと先を走っていた。時々、森の中を覗き込んだり、何かを拾ったりしていたので、ボクには助かった。
進藤がひたすら走っていたらボクは進藤を見失っていたと思う。
「進藤っ!」
何とか声を絞り出して叫んでも進藤は聞こえないような素振りで軽やかに走っていた。
進藤…
後で追いついたら殴ろう
暫く走っていると、道が3つに分かれていた。真っ直ぐに進む道と、右に進む道と、左に進む道。
進藤が真っ直ぐ進んだのを見た。
ボクが分かれ道に近づくと、分かれ道も根元で和谷くんが立っていた。
「よ!」
ボクは「急いでるので」と言うとそのまま走りぬけようと思った。
ボクは和谷くんが苦手だし。和谷くんはボクを嫌っているようだから。
「まぁ、聞け。お前の追っているのはさてど〜れだっ?」
そう言って分かれ道のほうを指差した。
見ると、3つの道全部に進藤がいた。後ろ姿だけだけど、間違いなく全員進藤だ。
「何で…」
ボクは驚いてそう呟いた。
「どれが本物でしょーかっ?」
和谷くんは楽しそうに言った。
ボクはずっと進藤を見てた。進藤は真っ直ぐ進んだ。間違いない。
「行ってもいいですか?」
「いーけど、待ったなしだぜ?」
ボクは真っ直ぐ進もうとした。
でも何故かあの進藤は違うような気がして立ち止まってしまったのだ。
ボクは困って振り返った。和谷くんはにこにこと笑って立っている。
「…何かヒントをくれませんか?」
「ダメ〜。間違えたらもう戻ってこれねーからよく考えろよ」
和谷くんは楽しそうだ。ボクは困って3人の進藤の後ろ姿を眺めた。
どれも同じに見える。
それにどんどん引き離される。ここで立ち止まっていたら、全員見失ってしまう。
「進藤っ!」
そう叫ぶと真ん中の進藤が振り返ってにっこりと笑った。
「?!」
違う。進藤じゃない。
進藤の顔をしていたけれど、違うような気がした。
どうしよう。
正解は右か左だ。
でも、どっちだ?
すると左の進藤が道草を食いだした。右の進藤はたったか走っている。
左の進藤が振り返った。
無表情でボクをじっと見つめてきた。
…こっちが進藤だ
ボクはそう思うと走り出した。すると進藤も走り出した。
後ろから声が聞こえた。
「頑張れよ〜」
振り返ると和谷くんが手を振っていた。ボクは手をちょっと上げると前を向いて走った。
かなり走ってボクはくたくただった。
「搭矢く〜ん」
走っているボクに誰かが話しかけてきた。
声が横からしたから横を見ると、空飛ぶキノコに乗った男の子がボクに話しかけていた。
ボクは空を飛ぶキノコを見てもさほど驚かなかった。何故だかはわからないけど。
「ね、進藤くんに追いつきたいんでしょ?だったらこれ買わない?」
男の子は自分の持っていたバックを探りだした。
「あった。これ〜」
男の子が差し出したのは2つのビン。
「何?」
ボクが聞くと男の子は説明してくれた。
「あのねー、これのどっちかが進藤くんに追いつける飲み物なんだ。もうひとつはハズレ。ね?買わない?」
ボクは男の子を見て思った。
どこかで見たことがあるような…
ボクが返事をしないと、男の子は「買うの〜?買わないの〜?」と聞いてきた。
何だかマイペースな男の子だ。
「ボクは君の乗っているそれの方が欲しいんだけど」
「ダメだよ。これはボクのだもん」
ボクは走りながら見たことのあるような男の子と話を続けた。
「どうしてハズレがあるの?」
「実はどっちがどっちだかわかんなくなっちゃって。だからくじ引き風にしてみたんだ」
「それは売り方を間違ってると思うけど」
そこまで言ってボクははたと思い立った。
「買うも買わないもボクお金は持っていないよ」
指導碁にお金を持ってきていないなんて変だったが、ボクは初めから手ぶらだった。
「いいよ、そのポケットの飴で」
「え?」
ボクがポケットを探ると黄色の飴玉が出てきた。
「いつのまに…」
「ね?買ってよ」
「いいよ」
ボクは飴玉を男の子に渡すとビンを貰おうとした。
「どっちか1つね」
「…どっちもくれないのか?どちらかハズレなんだろう?」
「ハズレを当てたら搭矢くんの運が悪かったってことだね」
男の子はどうやらふたつとも譲ってくれる気はないらしい。
しかたなくボクは片方のビンを貰った。
「飲むだけでいいから」
男の子がそう言うとキノコのスピードが段々落ちていった。
男の子が視界から消える瞬間、男の子が手を振って言った。
「じゃあ搭矢くん頑張ってね」
その時ボクは思い出した。その男の子とどこであったか。
プロ試験の予選でボクと打った。和谷くんと話していた子だ!
ボクは振り返ったが、もう男の子はいなかった。
前を見て進藤を見ると、進藤は会い変わらず軽やかに走っている。
ボクはハズレだとどうなるんだろうと思いながらもそれを飲んだ。
マズくはなかったけれど、変な味だった。
「何も起きないじゃないか」
ハズレかなと思ったとたん、体がどくどくと脈打った。
変な感覚に囚われてボクは眩暈がした。
次の瞬間、ボクの体に異変が起こった。
確認は出来ないけれど、おそらくボクの体は縮んでしまっていた。
周りのものすべてが大きくなっていたのだから。
木も、小石も、道幅も大きくなっていた。
もちろん進藤は大きいまま。
この体じゃとても追いつけない。
どんどん進藤は遠ざかり、最後には進藤は見えなくなった。
「…やっぱりハズレじゃないか……」
ボクは途方に暮れながらそう呟いた。
小さいまま、ボクは走った。
幸い分かれ道がなかったため、進藤が森に入っていなかったらこれで道はあっているはずだ。
「それにしてもいつ戻るんだろう?」
ずっとこのままだと進藤に追いつけない。
ハズレを引いた自分を少し恨んだ。
走りすぎて足は棒みたいになってもう感覚がない。
進藤は疲れていないのだろうか?
「あ〜、アキラ!」
「芦原さん?!」
ボクが小さいまま走っていると道を横切る芦原さんに会った。
「芦原さんどうしてここにいるんですか?」
「アキラも一緒にお茶しよ〜よ」
芦原さんはボクのことなどお構いなしで話を続けた。
「すぐそこでお茶するんだ。アキラもおいでよ」
芦原さんはボクの腕を掴んで歩き出した。
あれ?
ボクは小さくなったままなのに、芦原さんはボクと同じくらいの大きさだ。
「…芦原さん、その帽子、何?」
芦原さんは大きな帽子をかぶっていて、服も上下同じ色のシンプルな服を着ていた。
まるで小人みたいだ。
「帽子は帽子だろ?アキラこそ変な服だな」
ボクは慌てて自分の服を見た。いつもと何も変わらない服なんだけど…。
「市河さ〜ん」
芦原さんに引きずられてやってきたら、市川さんがテーブルをセッティングしていた。
「あら!アキラくんじゃない!いらっしゃい」
テーブルには沢山のお菓子や果物や紅茶が並んでいた。
市河さんも大きな帽子に上下同じ色の服を着ている。色は芦原さんとは違う色だったけど、服の形は同じだった。
「どうして2人とも同じ服なの?」
「やだ、アキラくんったら。小人はこの服を着るって決まりがあるのよ」
「小人?」
芦原さんは椅子に座ると言った。
「アキラは小人になってどれくらいなんだ?新人?」
「新人って…」
小人に新人も何もあるのだろうか?
「市河さん、もう食べていい?」
芦原さんはお菓子や果物を前に待ちきれないようだった。
「しかたないわねぇ…。皆遅刻なんだし。じゃあいただきましょうか」
市河さんも椅子に座った。芦原さんは「いただきまーす」と言うともう食べていた。
「アキラくんもどうぞv沢山あるから」
市河さんはボクに座るように促した。でもボクは進藤を追いたい。
「市河さん、ボク、元の大きさに戻りたいんだけど…戻り方知らない?」
「えぇっ、戻るの?小さいアキラくんかわいいのに!」
市河さんは残念って顔をしてボクを見ている。
そこに横から芦原さんが口をもぐもぐさせながら言った。
「アキラ、いっぱい食べて寝たら大きくなれるんだよ」
「そんな…」
ボクは急いでるんだけど。
「ほらっ!」
芦原さんが立ち上がってボクの口の前にクッキーを差し出した。
「いいよ、いらないから」
「そんなこと言わずに、ほいっ!」
芦原さんはぐいっとボクの口の中にクッキーを押し込んだ。
「ん!」
出すわけにもいかなかったのでボクはクッキーを飲み込んだ。
「芦原さんっ!」
ボクは芦原さんに抗議しようとした。
すると立ち眩みのようにくらっとしてしまって、ボクは膝をついた。
「アキラくん?大丈夫っ?!」
市河さんが慌ててボクに駆け寄ってきた。
「大丈夫…ちょっと、」
それ以上はボクは喋れなくなった。苦しくて胸を押さえた。
体がどくどくと脈打っている。
この感覚…
「!」
ボクが芦原さんと市河さんを見ると、2人がだんだん縮んでいった。
「アキラくんっ」
ボクは気がついた。
2人が縮んでいるんではなく、ボクが大きくなっているのだ。
体がなんの変化もなくなったようだったので、ボクは辺りを見回した。
草木はいつもと同じ大きさで、ボクは元の大きさに戻れたと確信した。
下を見ると、芦原さんはにこにこ、市河さんはおろおろとしていた。
「ああ、アキラくんがあんなに大きく…」
ボクはしゃがみ込み、二人に顔を近づけた。
10センチほどの2人は手のひらに乗るくらいで、ボクもこの大きさだったのかと思うと戻れてよかったと思った。
「2人ともかわいいね」
さっきは変な服だと思ったが、こうして小さい2人を見ると、本物の小人のようでかわいかった。
「かわいいだなんて、やだ、アキラくんったら」
「俺は嬉しくないぞー」
ボクは立ち上がって2人を見下ろした。立ってしまうと草で2人が見にくかった。
「じゃあ、ボク急いでるから行くね」
「アキラ!やっぱり食べたら大きくなったろ?」
芦原さんはそう叫んでいた。
ボクにしては聞き取りにくい声だったけど、たぶん芦原さんは叫んでたと思う。
ボクは芦原さんにお礼を言うと走り出した。
ボクが元の大きさに戻れて走ってから、ずいぶんたった。
道は1本。分かれ道はなかったので、進藤はこちらに来ているはずなんだけど…。
こうやって走っていて、進藤に追いつけるのだろうか?
ずっと進藤に追いつけなかったのに。
それでもボクは走るしかなかった。
ふと視界の端の方に白いものが見えた。
ボクは立ち止まって振り返った。地面に落ちていたのは白い…。ウサギの耳だった。
草むらから飛び出している。
「まさか…」
ボクは草むらを掻き分けた。
ウサギの耳の先には進藤がいた。
体を丸めて眠っている。
「進藤」
ボクは進藤に近づいてしゃがみ込んだ。
ウサギの耳を引っ張ってみるとぴんと進藤の頭に付いて離れない。
本物?
「進藤っ!起きて!」
ボクは進藤の体を揺すった。
「んん…」
「進藤…」
進藤はむくっと起き上がるときょろきょろと辺りを見回し、ばっとポケットから何かを取り出した。
進藤が取り出したのは懐中時計だった。
進藤は時計を見るなり青くなり、ばっと立ち上がって走り出した。
「あっ!進藤っ!」
ボクは折角捕まえた進藤を取り逃がしてしまったらしい。
また走る羽目になった。進藤は今度は道草など食わずにたったかと走っていた。
顔が青くなったところを見ると、何かに遅れそうだと言うことが推測できる。
進藤は時間にルーズなところがあるからたぶん、いや、絶対何かに遅刻しそうなんだ。
進藤とボクの距離が少しずつ広がっていく。
このままじゃまた見失ってしまう。折角見つけたのに。
ボクは死に物狂いで必死に走った。
無我夢中だった。
だからだろうか、ボクはいつの間にか小高い丘を登っていた。
それに辺りは暗くなっていて、星が輝いてる。
いつのまに…?
進藤はこの丘の頂上を目指しているようだ。
ボクが必死に坂道を登っていると、進藤がぴたっと止まった。
進藤が立っているのは丘の頂上だった。
「進藤っ」
ボクが進藤に駆け寄ると、進藤がくるっと振り返り、ボクをじっと見た。
その場でボクは動けなくなった。
「進藤…」
進藤はここで初めてボクに笑いかけて、ふわっとジャンプした。
まるで飛んでいくような飛び方だと一瞬思った。
実際、そうだった。
進藤はジャンプすると空中に着地したのだ。
そこに見えない地面があるように。
進藤はボクのいる地面から2メートルほどの高さに立っていた。
ボクは驚いて声も出なかった。
「オレ」
進藤が話し出した。
「帰らなきゃ」
「…どこに?」
ボクがそう聞くと進藤は振り返って空を見上げた。
何?
空?
進藤の向こうに大きな満月が見える。進藤は月を見上げていた。
「進藤?」
進藤はボクの方に向き直るとボクを真っ直ぐ見つめて言った。
「オレ帰んなきゃ。月に」
「どうしてっ?!」
どうして月なんかに?
進藤はちらっと月を見て、それから自分に付いているウサギの耳を弄くりながら言った。
「だってオレウサギだから」
ウサギが月に帰るなんて話聞いたことがない。
月に帰るって言ったらかぐや姫だ。
「帰るなっ!」
「…でももうすぐ迎えがくるんだ」
ボクは驚いてパニックになった。
「どうして?!月なんかに?!手合いはどうするんだ!それにボクと明日出かける約束だって!」
そうだ。ボクは明日進藤と出かける約束をしていた。
進藤が楽しそうに計画を立てていて…
「…搭矢」
進藤がひどく真剣な顔をしてボクを呼ぶから、一瞬でボクは冷静を取り戻した。
「…なんだ?」
進藤はウサギの耳を引っ張りそれに目を向けて悲しそうな顔をした。
それからボクを見て言った。
「ウサギって寂しいと死んじゃうって、知ってた?」
進藤の向こうに綺麗な満月が見えた。
「進藤っ!」
ボクは自分の声で目が覚めた。
ここは…ボクの部屋…。
今のは夢?
ボクはびっしょりと汗をかいていた。まるで走ったあとみたいに。
ボクは何だか不安になって、布団のすぐ横に置いてあった携帯電話を掴むと部屋を飛び出して走り出した。ボクは走っている間にだんだん冷静になった。
携帯の時間をみると4:17だった。
こんな時間に進藤が起きているはずがない。
それに家に鍵をかけるのを忘れてしまった。
ボクはかろうじてジャンパーは着ていたけれど、下はパジャマのままだった。
それでもボクは帰る気になれなかった。
どうしよう
ボクは携帯電話を握り締めた。
寝てたら帰ろう
そう思って進藤に電話をかけた。
プルル、プルル、プルル…
『搭矢っ?!』
「進藤…」
起きていたんだな
『どうしたっ?!なんかあった?!』
ボクがこんな時間に電話したから驚いているみたいだった。
『搭矢?』
「進藤、こんな時間に起きていたのか?」
『お前こそ…何の用だったんだよ。こんな時間に。驚くじゃん』
「ごめん。今から行く」
『え?』
ボクは携帯を切ると走り出した。「搭矢っ?!本当に来たのか?!」
ボクは玄関に入った。
「うるさいよ、今何時だと思ってるんだ」
「その言葉そのままそっくりお返しするぜ」
ボクは進藤の部屋に勝手に入った。進藤がボクの後ろからついてきた。
「突然どうしたんだ?搭矢、何かあった?」
ボクは寝室に入るとジャンパーを脱いで進藤のベッドに座った。
「お前…パジャマのまんまじゃん。…どうしたんだよ」
ボクは進藤を手招きした。
進藤はしぶしぶといった感じでボクの前に立った。
「進藤…」
進藤は「ん?」と首を傾げた。
「寂しいと思うこと…ある?」
進藤は驚いた様子でボクを見て、それからゆっくりベッドに上がって電気を消した。
それからボクを横に寝かせて進藤も横になって、ボクらは向かい合わせに寝転がった。
「あるよ。時々ね」
進藤は少し笑ってそう答えた。
「でも」
進藤はもぞもぞと動いてボクに近づきボクを抱きしめると言った。
「大丈夫だよ。搭矢がいるから」
ボクは進藤の顔を見た。進藤は笑ってくれた。
「もう寝よ?」
ボクは頷くと目を閉じた。
進藤の温もりでボクは安心出来た。「進藤、もう寂しくないよね?」
うん、月にはもう帰らない
ヒカアキ追いかけっこパート2(笑)
童話にハマりだした友達に影響されて童話をつまみ食いしてみました。
…童話って奥が深いなぁ…