僕はいつもヒカルくんとゆうきくんとあかりちゃんと
他の沢山の友達と一緒に遊ぶ。

でもいつもヒカルくんと一緒なわけじゃない。
ヒカルくんは時々僕をおいてゆうきくんと走っていってしまうことがある。

僕も一緒に走っていけばいいんだけど、どうしてかそれが出来ない。
だからそういう時は他の友達と遊んだり、大きい木のそばでじっと座っている。

今日もそうやって大きい木のそばでじっと座ってた。

じっと木のそばで座っているのはつまらないはない。

そばにいるありの行列を見たり、転がっている石を投げたりして遊ぶ。

それも楽しかった。

でも本当はヒカルくんたちと遊ぶ方が楽しい。
ちらっとヒカルくんの方を見てみると、ヒカルくんは楽しそうだった。
そしたらヒカルくんがこっちを見て、それから首を傾げた。

ヒカルくんは皆から離れて僕の方に駆けてきた。

「アキラくーん」

ヒカルくんは僕の前に立つと聞いた。
「何してるの?」
「…ヒカルくん見てた」
そう言うとヒカルくんは「ふぅん」と首を傾げた。
「一緒に遊ぼうよ」
「……」
僕は皆の方を見た。
ゆうきくんは遊具で遊んでいた。
「…僕、砂遊びがいい」
そういうとヒカルくんはゆうきくんたちの方を見て、それから砂場を見て、最後に僕を見た。
「今砂場みんなでいっぱいだから明日にしよ」
ヒカルくんは笑って言った。
たしかにそうだった。
砂場には沢山人がいた。
僕が渋々頷くとヒカルくんはいいことをおもいついたと言うような顔をして笑った。
「指きりしよ!」
「ゆびきり?」
ヒカルくんは手を僕に差し出した。
「小指を握手させてね、歌うの」
僕は言われた通りにヒカルくんの小指に僕の小指を握手させた。
「ゆーびきーりげんまんうーそついたらはーりせんぼんのーますっ、ゆびきった!」
ヒカルくんはゆらゆらと手を振りながら歌って、最後に勢いよく手を離した。
「これで約束な!明日は砂遊び!」
ヒカルくんは笑って言ってくれた。
だから僕は嬉しくて頷いて、それからゆうきくんたちと一緒に遊んだ。

 

 

僕は砂遊びが大好きだった。
お山を大きくキレイに作っていくのも、おだんごを丸くするのも楽しかった。

だからヒカルくんと一緒に砂遊びをするのがとても楽しみだった。

 

 

 

次の日、ヒカルくんが一緒に遊ぼうって言ってくれた。
僕がうんって言ってヒカルくんと一緒に駆け出すと、なぜかヒカルくんと僕は違う方向に走り出した。
「アキラくん、どこ行くの?」
「ヒカルくんこそどこ行くの?」
砂場はこっちだよ?
「ブランコに行こうよ」
僕はびっくりした。
でもすぐにヒカルくんが昨日のこと忘れちゃったんだと思った。
ちょっと悲しかったけど、すぐにヒカルくんに説明した。
「昨日指きりして砂遊びするって約束したよ?」
するとヒカルくんはそうかと言う顔をした。
やっぱり忘れてたみたいだ。
ヒカルくんは砂場とブランコを見た。
「砂遊びは明日じゃダメ?ブランコあいてるからやりたい」
ヒカルくんはブランコが大好きだった。
でも皆も大好きで、数も少ないからいつもいっぱいだった。
今日は久しぶりにあいてる。だからヒカルくんはブランコがやりたかったんだと思う。
でも僕はいやだった。すごくいやだった。
それから悲しかった。
「ヒカルくんのうそつきっ!」
約束したのに!
ボクはヒカルくんと反対の方に走り出した。

ヒカルくんは慌てて僕の後ろについてきた。
だからボクはとまって振り返った。
「アキラく」
「ヒカルくんなんか嫌いだっ、あっち行って!」
ヒカルくんが何か言おうとしたけど僕が叫ぶ方が早かった。
ヒカルくんは立ち止まってボクを見た。驚いた顔をして、それから怒った顔をした。
「…アキラくんのバカっ!」
ヒカルくんはあっかんべーをしてブランコの方に走っていった。

ボクは腹が立って、ずんずん歩いた。
出来るだけヒカルくんと離れようと思った。
約束したのに。
明日ねって言ったのに。
楽しみにしてたのに。
ヒカルくんなんか…
バカ!
視線の先にさい先生が見えて走った。
「アキラくん」
さい先生はにっこりと笑った。
先生はいつも笑ってる。
僕らがいけないことしてしかる時も怒ったりしない。
とっても優しい顔してる。
どうして怒ったりしないの?
どうして笑っていられるのかな…
「せんせぃ…」
「はい?」
先生はしゃがんでボクの顔を覗き込んだ。
「せんせいはどうして怒らないの?」
先生は首を傾げた。
「どうかしたんですか?」
「ボクせんせいみたいに優しくできないんだ」
ヒカルくんにブランコでいいよって言えばよかったのかな
でも、だって、約束でしょ?
「せんせい、ゆびきりをやぶるとはりを千本のまなきゃいけないの?」
先生は首を傾げて困った顔をして笑った。
「どうでしょうねぇ?普通は飲まないと思いますよ」
「じゃあゆびきりってどうしてするの?」
「約束の印じゃないでしょうか。誰かと何か約束したんですか?」
先生は優しく笑ってくれた。
ボクが頷くと、誰に?って聞かれた。
「ヒカルくんと」
さい先生はにっこりと笑って聞いてくれた。
「何を約束したんですか?」
「あのね、砂遊びしようって言ってゆびきりしたのに、ヒカルくんはブランコしよって。ボク、すごく楽しみにしてたのに…」
「そうですか…」
ボクは頷いた。
「ヒカルくん約束も忘れてたんだ。ボク本当に楽しみにしてたのに。ヒカルくん約束やぶるんだ…」
さい先生は笑ってボクの頭に手をのせて優しく撫でてくれた。
「ヒカルくんにそう言えばいいんですよ。楽しみにしてたんだよって」
ボクは頷けなかった。
だって、楽しみにしてたの、ボクだけなのかな。
ヒカルくんは砂遊びキライなのかな。
ヒカルくんはボクと遊ぶ約束、楽しみにしてくれてなかったのかな…
「そう言ったらヒカルくん遊んでくれるかな…」
先生は大きく頷いて笑った。
「ええ」

ボクはヒカルくんにあやまりに行こうと思った。
怒っちゃったこと、ごめんねって。
でも砂遊びとっても楽しみにしてたって言おう。
ヒカルくん怒ってるかな
ゆるしてくれるかなぁ…
「せんせい、ボクヒカルくんのとこ行ってくる」
「はい。いってらっしゃい」
さい先生は手を振ってくれた。
ヒカルくんの近くに行くと、ヒカルくんはボクに気がついて怒った顔をした。
それからすごく睨まれた。
怒ってるんだとわかった。
「あの、ヒカルくん、あのね」
「アキラくんなんかキライだっ!だいっきらいっ!」
ボクはすごくびっくりした。
「ヒカルく」
「もう遊ばないっ!あっちいけっ!」
どうしてっ?
ボクあやまりに来たのにっ
ヒカルくんのバカっ!!
「ヒカルくんのバカっ!!」
「バカって言った方がバカなんだっ!」
「ヒカルくんの方がバカだっ!」
「アキラのおたんこなすっ!」
ヒカルくんはばちんとボクの腕を叩いた。
ボクも叩き返すと、すごいケンカになった。
髪の毛を引っ張られるから引っ張り返した。
叩かれたら叩き返した。
ヒカルくんをばんと押すとヒカルくんはしりもちをついた。
ヒカルくんは悔しそうにして、それからその辺にあった小石を掴んで手を振り上げた。
投げられると思って目を閉じようとしたらすごい声が聞こえた。
「ふたりともっ!!!」
その声に驚いて横を見るとさい先生が怖い顔で立ってた。
はぁはぁと息を切らせて、走ってきたみたいだった。
「ヒカルくん、小石を下ろしなさい」
さい先生はすごく怖い声でヒカルくんに言った。
ヒカルくんが恐る恐る小石を落とすと、さい先生は少しだけ怖い顔を止めた。
「ヒカルくん、石は投げてはいけません。目に入って目が見えなくなったらどうするんです」
ヒカルくんはしょんぼりと下を向いてしまった。
「アキラくん、どうしたんです?仲直りするんじゃなかったんですか?」
「………」
ボクはヒカルくんを見た。
ヒカルくんはボクを少しだけ睨んだ。
怒ってるんだ…
「………あやまろうと思ったけど、ヒカルくんが」
「アキラが先に怒ったんだいっ!」
ヒカルくんがすぐに言った。
「違うもんっ、ヒカルくんがすぐキライって言って聞いてくれなかったんだ!」
「それはアキラくんだ!」
「ちがうっ!」
「ちがうくないっ!」
「ちがうっ!!」
「アキラくんなんかっ!」
ヒカルくんはそこで言うのを止めた。
「アキラくんなんか…」
ヒカルくんはみるみる目に涙を浮かべた。
「アキラくんなんかキライだもん〜〜…っ」
ヒカルくんはえぐえぐ泣き出しちゃったからボクは何も言えなかった。
さい先生はヒカルくんの頭をよしよしと撫でていた。
「ボクはヒカルくん…好きだもん…」
そう言うとヒカルくんは顔をあげた。ヒカルくんの顔は涙でぐしゃぐしゃだった。
「だって、アキラくっ…、キラぃだて、こっち来るなって言ったもぉ…んっ。だからオレもキライだもんっ」
ボクは思い出した。
初めにボクがヒカルくんに「キライ」って言っちゃったんだ。
怒っててわからなかった。
「ヒカルくん、あのね、ごめんね。怒ってごめんね。キライじゃないんだ。ボク、ヒカルくんのこと好きだからね…?」
ヒカルくんは泣きながらボクを見た。
「オレも好きだもんっ。オレだってアキラくんのこと好きだもん〜〜…」
ヒカルくんは泣きながらそう言ってくれた。
さい先生は笑ってた。
すごく嬉しそうだった。
「仲直り出来てよかったですね」
さい先生はヒカルくんとボクの頭を優しく撫でてくれた。
「でも約束はちゃんと守らなくちゃいけませんよ?」
にっこり笑って言った先生に、ヒカルくんとそれからボクも頷いた。
仲直り出来てよかった。
でも先生でも怒ることってあるんだなぁ
ボクは約束を守らなくっちゃというのと友達のこと怒ってキライって言っちゃいけないってことともう一つ、小石を人に投げようとしちゃいけないんだってしっかり覚えた。
だって、さい先生が怒ったら少しだけ怖かった。
でもこれはさい先生にはナイショにしておこうっと。

 

 

 

子供ってこういうケンカよくしますよね。
どっちが先に言ったかってヤツ。私も弟と昔よくやった(笑)
この二人の場合、キライって言ったのも人が謝ろうとしたのを聞かなかったのも
どっちもアキラが先だったんですよ。本人気がつかなかっただけで。
ケンカってそういう風に起こるんですよねェ…
つかまたケンカさせちった(実は楽しい・コラ)