きらきら

 

 

きらきらひかる
お空の星よ
まばたきしては
みんなを見てる
きらきらひかる
お空の星よ

きらきらひかる
お空の星よ
みんなの歌が
届くといいな
きらきらひかる
お空の星よ

 

 

昔、天の川の近くに、織姫という美しい女の人と、そのお父さんが住んでいました。
織姫はお父さんの言うことをよく聞き、とても一生懸命機織に精を出していました。

 

「先生っ!はたおりってなに?」
ヒカルくんが手を上げて叫んだ。
「機織って言うのはですね、お洋服を作る布があるでしょう。それを作るお仕事ですよ」
「ふーん」
ヒカルくんはボクに小声で「わかる?」と聞いた。
ボクも小声で返した。「なんとなく」
「オレよくわかんないや」
ヒカルくんが首をひねっていると、先生がお話を再開した。

 

織姫が作る布はとても綺麗で、お父さんはとても織姫を褒めます。
しかし、お仕事ばかりで恋人もいない織姫がかわいそうで、
天の川の西に住んでいる彦星という牛飼いの男の人と結婚させてあげました。
彦星と織姫は結婚をすると、仕事をしないで毎日遊んでばかりいました。
それを見て、お父さんはとても怒りました。
そして、織姫と彦星におしおきをすることにしました。
お父さんは織姫を天の川の東に連れて帰ってしまうことにしたのです。
そして、一生懸命仕事をするなら年に一度、7月7日の夜に会わせてあげよう、と言いました。
織姫は彦星と別れたくなかったのですが、お父さんの言うことに逆らえません。
2人は泣きながら別れました。

それから、織姫も彦星も、一生懸命お仕事をしました。
そして、7月7日に会えるのを待つのでした。

 

「これが七夕のお話です」
さい先生のお話が終わると、皆がそのことについておしゃべりを始めた。
明日は七夕だから、七夕のお話を聞いて、短冊にお願いごとを書くんだ。
「オレ」
ヒカルくんが呟いた。
「保育園が年に一度だったらヤダな」
「うん。ボクも」
保育園に来る前が楽しくなかったわけじゃないけど、
やっぱり保育園は楽しい。お友達も先生もいるから。
それが一回だけなんて寂しい。
織姫と彦星も寂しいだろうな。
「…先生ぇ」
今度はあかりちゃんが手をあげた。
「何ですか?あかりちゃん」
「雨が降ったら、会えないって聞いたの。本当…?」
あかりちゃんは悲しそうな顔をしてさい先生を見てた。
ボクはそんなこと聞いたことないから驚いた。
年に一回しか会えないのに、雨だったら一回も会えなくなっちゃうの?!
先生はにっこり笑った。
「大丈夫ですよ。雨が降ったらね、確かに天の川の水かさが増えて橋を渡れないのですが、そんなかわいそうな2人を見て、かささぎという鳥が橋の代わりをしてくれるんです。だから2人は雨でも会えるんです」
あかりちゃんはそれを聞くと嬉しそうに笑ってあすみちゃんとおしゃべりを始めた。
ボクもほっとした。
「じゃあ、皆さんに短冊を一枚ずつ渡しますからそれにお願い事を書いてくださいね」
さい先生が短冊を渡してくれた。
「さい先生、願い事がいっぱいあるからもっとたんざくちょーだい」
ヒカルくんがさい先生を見上げて手を差し出していた。
さい先生は笑って言った。
「駄目ですよ、欲張っては。一つだけしかお願いは叶わないんです。よーく考えて一つだけ、書いてください」
「ちぇ〜」
ボクは短冊を見てみた。
オレンジ色の折り紙で出来てた。
…何をお願いしよう…
ヒカルくんを見ると、うんうん唸って短冊とにらめっこしていた。
ヒカルくんもお願いを何にするか迷ってるみたい。
…何がいいかなぁ
お父さんみたいに強い碁打ちになれますように
ヒカルくんとケンカしませんように
緒方さんや芦原さんともっと一緒に遊べますように
あ、そうだ、オレンジのクレヨンがなくなっちゃったんだ。
新しいクレヨンがもらえますように、かなぁ。
それから、それから…
「アキラくん、書いたぁ?」
あかりちゃんがボクの短冊を覗き込んだ。
「まだなの?ヒカルもまだ唸ってるの。そんなにお願いごとがあるのかなぁ?」
「あかりちゃんはなんて書いたの?」
「私?私はね、『くまさんのぬいぐるみが欲しい』って書いた」
「ふぅん」
ボクはなんて書こうかなぁ…
「できたっ」
ヒカルくんが横で大きな声を出して立ち上がった。
「アキラくん、出来た」
ヒカルくんが嬉しそうにボクを見た。
「うん、なんて書いたの?」
ボクが聞いたら、ヒカルくんはにひひと笑ってじゃ〜んと短冊を広げた。
「『ゆーれーに会えますように!』」
「ええっ」
隣であかりちゃんが驚いた。
「何で?おばけ怖いじゃない!」
「怖くないよ!おばけをやっつけてゆうしゃになるんだぞ!」
「それはゲームでしょ!」
ヒカルくんとあかりちゃんが言い合ってるうちに、ボクもお願い事を決めた。

「さぁ、みなさん書けたみたいですね。じゃあお外に出てください」
さい先生がそう言うと、皆いっせいに外に出て行く。
ボクもヒカルくんとあかりちゃんとお外に出る。
「それでアキラくんはなんて書いたんだよ?」
ヒカルくんがボクの短冊を覗き込もうとした。
「…えっとね、」
わぁっ
その時、保育園の門から、緑色の大きな木がのしのし歩いてきた。
ボクもヒカルくんもあかりちゃんも、みーんな驚いてた。
よく見てみたら、木が歩いてるんじゃなくって、誰かが木を運んでいるみたいだった。
「さいせんせーっ」
運んでいる人が大きな声を出した。
さい先生はその人のところまで走っていった。
「オレたちも行ってみようぜ!」
ヒカルくんが真っ先に走り出す。ボクもあかりちゃんもすぐに走り出した。
「おっきー…」
その木は横に寝かせられた。
「ふぅ、結構重いな。こんだけ大きけりゃ天まで届くだろ」
その人はわははっと笑うと、汗を拭った。
「倉田さん、ありがとうございます。こんなに大きいもの、あるんですねぇ」
「いやいや、なんなら今度流しそうめん用の竹も持ってきてやろうか」
「…そんなものまであるんですか」
「あるある。な、おまえも流しそうめんしてみたくないか?」
その人がヒカルくんの頭に手を乗せて聞いた。
「したいっ。出来るのっ?!」
「ああ、今度ここに持ってきてやるぞ」
「うんっ」
「流しそうめんはうまいぞ。やっぱり流すからうまさが倍増してだな。とにかくうまい」
その人は何か、たぶん流しそうめんを想像してるんだと思う。嬉しそうだ。
「さ、皆さん、短冊を笹にくくりつけて下さい」
皆それぞれ楽しそうにくくりつけていく。
ヒカルくんは、笹のてっぺんにくくりつけようってボクをひっぱる。
「ヒカルにアキラじゃねーか」
てっぺんにつく前に、てつおくんに声をかけられた。
「なに?」
ヒカルくんが答えた。
「どこいくんだよ?つけないのか?」
てつおくんは短冊をぶらぶらと振りながら聞いた。
てつおくんの短冊には漢字で文字が書かれていた。
「わぁ、てつおくんすっげー。漢字?なんて書いてあるのっ?」
ヒカルくんが物珍しそうにてつおくんの短冊を覗き込む。
「いち…?その前は読めないや」
漢字の一しかボクにもわからなかった。
「ふふん。これはな、世界一って書いてあるんだ」
てつおくんが自慢げに言った。ヒカルくんは目をきらきらさせて聞いている。
「オレが世界で一番強くなるんだ。それで将棋のプロになるんだ」
「へー、ぷろ、ってすごいの?」
「ああ、最強だぜ。一番だからな」
「一番…いいなぁ」
ヒカルくんはてつおくんを尊敬の眼差しで見ていた。
プロ。お父さんは囲碁のプロだけど、一番なのかな…?
「あ、はやくつけねーと笹、もちあげられちまうぜ?」
「あ!大変。アキラくん、いこっ」
ヒカルくんはボクの手をひっぱっててっぺんに向かった。
途中、よしたかくんの声が聞こえたから、振り返ってみたら、いすみ先生とお話してた。
いすみ先生はよしたかくんのお部屋の先生だ。
「いすみ先生のお願いごとってなに〜?」
「え?あ」
「いじめらませんようにって書いたの?」
「違うよっ。…『早く一人前になれますように』だよ…」
いすみ先生は今年から入った先生だって言ってた。
ボクより早くに保育園に来てたんだけど、まだ新人?なんだって。
「へぇ。俺はいすみ先生はもう一人前だと思うけどなっ。それにいじめられたら俺が助けてあげるね」
「…よしたかくんがもうケンカをしませんように、に書き換えてこようかな…」
「むぅ!ケンカじゃねーもん!助けてるだけだ!」
「うん、ありがとう。でも怪我をしない程度に頼むよ」
よしたかくんは嬉しそうに笑ってた。
いつのまにかヒカルくんもよしたかくんを見てたみたい。
ボクらは顔を見合わせると、少し笑って歩き出した。
「それで、アキラくんはなんて書いたんだよ」
「あ、『いっぱい笑ってくれますように』」
「…誰に?」
「…ないしょ」
「なんだよ!ないしょはもうなしだろぉ」
「ないしょにしてるのをないしょにするのは駄目」
「わけわかんないぞ!教えろよ!」
「…織姫と彦星がだよ」
「?」
「二人が会えて、笑えますように」
「なーんだ。でも、アキラくんそんな願いでいいの?自分のは?」
ボクは首を振った。
「いいんだ」
織姫と彦星じゃないんだけどね。
本当はヒカルくんなんだ。
ヒカルくんがいっぱい笑ってくれますように
それでいいんだ。
だって、ヒカルくんが笑ったら、ボクすごく嬉しいんだもん。
「他にお願いないの?」
「…どうして?」
「アキラくんのお願い、オレが叶えてあげるよ。何がいい?」
ヒカルくんがボクの大好きな笑顔でそう言ってくれた。
お星様にお願いしなくても、叶うかもしれない。
「じゃあ、明日、すべりだいで遊んでくれる?」
「わかった。すべりだいだな」
ヒカルくんはいいよって笑ってくれた。
それから、短冊をてっぺんにくくりつけた。

「じゃあ立てるぞ?皆、つけたか?」
笹を運んでくれたおじさんが皆に聞いた。
皆、「はーい」と返事をした。
おじさんは「どっからしょ」と言って、笹を立ててくれた。
すごく大きな笹だったから、ボクとヒカルくんの短冊は見えないくらい高いトコにいっちゃった。
「見えなくなっちゃたー」
ヒカルくんが残念そうに言った。
すると、さい先生がにっこりと笑って言ってくれた。
「高いところにあったら、お星様が見やすくって助かりますよ、きっと」
ヒカルくんはじゃあいっか、と言った。
大きな笹を見上げた。見えないけれど、てっぺんでボクたちの短冊がゆらゆら揺れているんだ。
一瞬、オレンジ色の光が緑の葉の間に見えた気がした。
「さい先生は、お願いごと、なににした?」
ヒカルくんがさい先生に聞いた。
さい先生はにっこりと笑った。
「保育園のみんながずっと元気でいてくれますように、って書きました」

「じゃあ、皆さん、きらきら星を歌いましょう」
さい先生がさん、はい、と言うと、皆歌いだす。おじさんもついでに歌ってるみたい。
ヒカルくんはすごく嬉しそうに歌っている。
ボクも、ヒカルくんの話を聞いて、この歌が好きになっちゃった。

きらきら星のお歌の練習をした時、ヒカルくんが教えてくれた。
「オレの名前の『ヒカル』が入ってるから、この歌好きなんだ」
ボクが初めてヒカルくんの名前を聞いた時、
おひさまが光る、のヒカルみたいだと思ったけど、
おほしさまがきらきら光る、のヒカルでも、ヒカルくんにはぴったりだと思う。
ヒカルくんの名前は何だか魔法みたい。おほしさまにもおひさまにもなっちゃうんだ。

きらきらひかる
お空の星よ…

 

みんなのお願いごと叶うといいなぁ

 

 

7月7日の夜、お母さんとお父さんと天の川を見た。
とっても晴れてたから、きっと織姫と彦星はすぐに橋を渡っていったと思う。

 

 

七夕の話、園児にもわかりやすいようにまとめてみました。変でも許して下さい
しかし、雨でも会えるんだね。知らなかった。ついでにキラキラ星の2番も初めて知った。
伊角さんが出せてよかった(無理やり出した気がしますけどね)
いすみ先生についてはおいおい書いていきたいなぁ。
ヒカルのお願いごとには悩みました。これくらいの歳の子って何を書くんだ?!
とりあえず、変わった願いがいいなって思って、これ。原作でもう叶ってますね。やっつけはしませんでしたけどね。
…きらきらってお題でこれしか思いつかない脳みそはどうかと思います…(どうにかして)