「ん〜〜…」
オレはいつもみたく碁の検討をしていた。
この前のオレの一戦。
ここだよなー、これなんだよ、マズかった手は。
こっちじゃなくてこっちだよなー。あ、待てよ…あいつはこっちだとか言いそうだなぁ…
どうだろう、アイツは…、こっちもよさそうかな…、いや、こっちを狙うならやっぱ…
ん〜〜〜〜…ピンポーン
ん〜〜〜〜〜…
ピンポーン
いや、こっちだな!これで、こう!こうしてこうだ!
ど〜うだ、搭矢、これで文句は言えねェだろ!ピンポーン
あ???
ピンポーン
…9時…。誰だ????
ピンポーン
っておいおい、どんだけ鳴らすんだよ。ちょっとくらい待てよ
オレが立ち上がったところでまたチャイムが鳴る。
近所迷惑だって考えろよな〜;
「はいはい〜っ」
開けて驚いた。
「オマエ、何で??」
「何してたんだ…」
「は?え?検討…」
「………そうか」
…コイツ、今日地方のイベントに行ってたはずじゃ…
というか今コイツ忙しい時期じゃ…
「進藤」
「はい?」
「中に入れてくれないか?」
あ、
「ごめん、どうぞ」
「お邪魔します」「そうだ、ある意味いいところに、だよな」
「何がだ?」
オレはさっきまでしてた検討の前まで搭矢を連れて行って聞いた。
「なー、オマエならここでどこに打つ?」
搭矢は盤面をじっと見た。
こっちか?それともここか?たぶんこっちだと思うけど
「そうだな…、ボクはここだけど」
よっし!思った通り!
搭矢は顔を上げてオレを見て少し笑った。
「君はここに置くんだろう?」
搭矢が指差した場所はオレがいいと思った場所。
「う…」
「君はこういう戦い方が好きだもんね」
搭矢は楽しそうに笑った。
オレの考えが手に取るようにわかってるって顔。
「んだよ。オレだってオマエが置くだろうってトコわかってたぞ」
「そうだろうね」
搭矢はあっさりと笑って頷いた。
むー、何だよ、それもわかりきってるってか?
何だか余裕の顔が憎らしい。
「これ、この前の君の棋譜だろう?」
「うん」
搭矢はその棋譜を何手か前の手を指差していった。
「?」
「ここ」
ここ?何かあるのか?
「これより、こっちの方がよくないか?」
あ…、………
「あー、本当だっ!」
「これは気がつかなかったんだね」
搭矢はまた笑った。
バカにした笑いじゃない。オレのこと出来の悪い弟を見る感じ。
ようするに愛情がこもってる笑いなんだけど…
気づけなかった自分がちょっと憎らしい。
くっそー…
「この続きはしないのか?」
「あ、するする」
搭矢に促されてオレ達はそのまま検討に入った。十分に検討し終わるとオレは満足、満足。
それで思い出した。
「そういや、オマエは何でオレんちに?オマエ忙しいんじゃ?」
まさか検討にし来てくれたってわけじゃないんだろうし。
そうだったら搭矢ってばエスパーだよ
「ああ」
搭矢はそうだった、という答えを寄こした。
初めに聞かなかったオレもオレだけど、言い忘れて検討してる搭矢も搭矢だな。
碁バカにも程があるぜ、まったく。
搭矢はカバンから何か包みを取り出してオレに差し出した。
「これを渡そうと思って」
「何?」
オレは首を傾げた。
包みを開けるとチョコレート。
は?
「バレンタインだよ。過ぎたけど」
ぽかんとするオレに搭矢は言った。
あ、バレンタイン?
………バレンタイン…の…チョコ。
これってあれだよな、バレンタイン用っぽいし、何だ、もしかして…
「これ、買ってきたのか?」
「そうだけど?」
…これを?男のオマエが?
女の子ばっかのレジに並んだ…のか?!
だ、いくらオマエが女顔だからって無理があるぜ?
てか恥ずかしくないのかっ;
「あーのさ、えと、何で?」
「何でって…バレンタインだからだけど」
「えー…と、あー…ありがとう…?」
「何で疑問系なんだ」
「あー…;」
だって、何でだって思うだろ?
そりゃ、そりゃ、オレ達付き合ってるけど…
「いらないならいいけど?」
「いやっ、違いマス。頂きます」
どうしよう…
すっげー嬉しいかも…////
貰えるなんて思ってなかっただけに…ヤバい…
つぅか、過ぎてるだけに驚いて…
「進藤?」
ヤバいヤバイ、ヤバイっ
がたんっ
オレは勢いよく立ち上がった。
「ちょ、搭矢っちょっと待っててっ」
オレはそのまま走って財布を引っ掴むと飛び出した。ばたんっ
ドアを閉めて顔に手をあてた。
やっべー…
たぶん今、顔真っ赤だ。
嬉しい嬉しい嬉しい。
搭矢がオレにチョコをくれるなんて。
オレは走り出した。
搭矢ってば普段あっさりしてるから、絶対にくれないと思ってた。
アイツがチョコ買うトコも想像出来ないし。
でもくれたんだよなっ。買ってきてくれたんだよなっ。
うっ…はーっ
嬉しい〜〜
コンビニまで走った。
きっと今もまだ顔は赤い。
でもいいんだ。走ったって顔は赤くなるんだ。
オレはさっさと買い物を済ませて、また走った。
ニヤケが止まらない。
「へへへっ」ばたんっ
オレは勢いよくドアを開けて搭矢まで一直線。
「進藤…」
「はいっ」
オレはさっき買ってきた色気も包装もなにもないけど、
正真正銘のチョコレートを差し出した。
「買ってきたのか?」
搭矢は目をまん丸にした。
オレの心境が搭矢にわかったかもしんねぇ
搭矢はそれを受け取るとすっげー綺麗に笑った。
「ありがとう」
「…どういたしまして」
搭矢はチョコを見て、もう一回笑う。
「何だよ」
「いや」
搭矢はオレを見て更に笑った。
「だからなんだよ」
「君、顔真っ赤だよ」
「っ、走ってきたから」
そう、走ってきたんだぞ。…嬉しさのあまり。
搭矢はそのチョコを取り出してもぐもぐと食べだした。
おいおい、今食うのか
「おいしい。ありがとう」
「…ぉぅ」
別に買ってきただけなのに、搭矢は笑う。
オレも搭矢の隣に座って搭矢がくれたチョコを食べた。はたから見たら、男同士でギリチョコ食ってる寂しいヤツら(?)みたく見えるかもしれない。(つっても誰も見てないけど)
でもオレにとってはすっげー幸せな時間だった。
「甘いなー」
「君甘いの駄目だったか?」
「いや、大好き〜」
「そうか。ならよかった」
「うん、搭矢も好きだからな」
「それもよかった」
「来年もチョコくれる?」
「もちろん」
笑った搭矢にキスを送って。
「来年は当日にくれよな?」
搭矢も笑ってキスを返してくれた。
「わかってるよ」
短いけど、バレンタイン過ぎたけどアップしたかったもの。
このヒカル気に入ったんで。へたれすぎなのが。つかすでに乙女化?(笑)
これでもヒカアキなのです。言い切りますよ。
ヒカルが貰ったチョコは「ひよだまり」のチョコならいいなぁ…(Aさん宅で画像をちらと見た)
題名の扇子0.ツッコミ不可。わかりやすくてよし(よくない)